livingroom diary

愛されるアラカンをめざしてw

ガンダム誕生秘話

録画した「ガンダム誕生秘話」を見てました。(初回放映は2019年)

「機動戦士ガンダム」が、当初は貧弱な環境、低視聴率、注目されない苦悩にあえいでいたという苦労を語る内容と、今までにない物語性のあるアニメを作るんだ、作ったんだという誇りがあった。今ではレジェンドと呼ばれるようなスタッフの証言が楽しい番組でした。


本放送放映時、私は高校1年でオタクだったので、当時のことを思い出したりしながら見ていました。後半、富野さんが「女の子からのファンレターを読んでいて、彼女たちはホワイトベースの家族論しか見ていない」と言った通り、メカより人物ドラマしか見てませんでした。友達が先に見始めてて、ガンダムってすごいんだよ、面白いの、一度見てみて、と言われたような記憶が。


番組の中で安彦さんが仰ってましたが、土曜日の夕方5時半ってテレビが見づらいんですよ。今みたいな配信どころか、ビデオも当時はなく、テレビは家に1台、チャンネル権は父親のものです。ただ、その時間は割とテレビが空いている事は多かった。


正直、熱中して見てたのは中盤まででした。たぶん、カイと恋に落ちて死んでいくミハルの物語辺りまでだったような。終盤、ララァが出て来てニュータイプの話になり、主人公アムロと、敵役とはいえもう一人のヒーローであるシャアとの三角関係には、ついていけない感じになってしまいました。孤高だと思っていたシャアが、ララァ登場以降急にベタベタと甘かったり、フラウのアムロに対する執着がいつの間にか薄れて、最後ハヤトといい感じになるのが受け入れられなかったという感じでしょうか。
シャアについては、他作品でもシャア本人や、立ち位置が同じ人物が必ず出て来ますが、一貫して性格が謎で感情移入できない人物でした。


私より入れ込んでた先輩が、放映が終わったあとに出た小説版を買って読んで、どうもアムロとセイラさんが××する描写があると聞いたときに、なんか醒めた気持ちで、あの作家(富野さん)はそーいう(物語のセオリーを裏切って視聴者に衝撃を与える)事をするなんだろうな、とスッとガンダムから気持ちが離れた記憶があります。なので、映画版はどれも見てません。その後富野-安彦でイデオンが放映された時も、見てみたもののやはり陰鬱で、見るのを止めてしまいました。友達の一人は最後まで見て感動やら影響やら受けていました。


考えてみると、シャアに限らず、ガンダムの登場人物というのは案外性格がブレブレな人が多いように思います。主人公周り以外は大体死んでしまうので目立たないですが、富野さんが作る「波乱万丈な物語」に人物の行動を合わせている、しかもこの人物はこうだろう、というステレオタイプな評価を嫌って意外な行動を取らせてしまう向きがあるので、よく考えると、この人物何を考えているんだ?と思います。ただ、リアルの人間もそういうところがありますから、リアリティがあると言えばそうなのかもしれませんね。


あとは安彦さん、板野さんも仰ってましたが絵の崩れが時々酷かったですね。ガンダムに限った事ではなく、この時代テレビアニメの絵が崩れるという事はよくあったように思います。手間のかかるセルアニメの時代だからこそ、だったのかもしれません。


私は薄い視聴者でしたが、それでも安彦良和さんのイラスト集を買ったり、前述の先輩はどこからか情報を仕入れて来て、アニメの収録現場で出待ちしに行く(番組の中で古谷さんが言っていた)とか、同人誌を仕入れて来て、当時は話題になった一大タイトルらしいのですが(笑)それを部活の時に目の前で朗読されたのは痛々しくも懐かしい思い出で、やはり一大ムーブメントではあり、その後アニメも、オタクと言われる人たちも、一大市場となって行ったきっかけではあったのだろうと思います。


その後、近年になってあれこれガンダムシリーズを見ていますが、どれもそれなりに面白く、その面白さというのは放映された時代背景とか、他作品の影響とか、自分もその頃何をしていただろうか…などと無意識のうちに回想しながら見ているのが楽しみのひとつ、という気がします。